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偉人たちの生まれ変わりだったチャールトン・ヘストン [時には「平成」]

時には平成

偉人たちの生まれ変わりだった
チャールトン・ヘストン


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●チャールトン・ヘストンがキリストを演じていなかったのは意外な気がする。
 (キリスト像 6~7世紀)

 
4月6日の夕刻、インターネットでチャールトン・ヘストンの訃報を知った。84歳とのこと。「巨星堕つ」とか「古き良きハリウッドの終焉」「一つの時代の終わり」というような決まり文句がとっさに浮かぶが、晩年、全米ライフル協会会長として銃器の規制撤廃を促す活動を、突撃派マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー「ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002)で糾弾されるようなことはあっても、言葉通り20世紀を代表する大スターだったという評価に異論を挟む人はいないと思う。

 
1950年、「虐殺の街」でデビュー以来、生涯に60本ほどの映画に出演している。セシル・B・デミル監督「十戒」のモーゼを筆頭に「ベン・ハー」「エル・シド」、「偉大な生涯の物語」のヨハネ、「ジュリアス・シーザー」、「アントニーとクレオパトラ」など、数千年前の偉人がまさに目の前に立ち、広漠たる大砂漠で、荒涼とした山岳地帯で、高波踊る大海原で、降りかかる苦難に果敢に立ち向かっている確固たる存在感を示していた。改めてこうした主演作を展望すると、彼は米国が世界の覇者として君臨していた時代の象徴のような存在だったように思えてくる。

サーカスが大好きな私は、デミル監督が現実のリングリングブラザース/バーナムアンドべイリーサーカスを舞台として製作した「地上最大のショウ」(1952)で初めて彼を知ったが、そこでの彼はまだサーカスの座長でしかなかった。けれどもその後の彼は瞬く間に、歴史上の人物、世界的偉人に出世していく。時代がヒーローを求め、彼らが活躍する歴史劇が続々と誕生する。

「ベン・ハー」(1959)におけるコロセウムでの有名な戦車競争シーン。「エル・シド」における波打ち際の城(ロケ地はモンサンミッシェルではないかと思うのだが)を背にしたラストの戦闘シーンは今思い出すだけでもぞくぞくする。また、「アントニーとクレオパトラ」(1971)はシェークスピアの戯曲を忠実に映画化したものだと聞く。

これらの作品は、映画のシステムが進化したことと無縁ではない。当時最先端の大型映画システムであるパナビジョン、シネマスコープ、シネラマ等の大画面と高度に進化した立体音響が胸躍るスペクタクルを求めていた。大型映画にスケールの小さいスターは似合わない。骨太で大柄な彼の体躯が画面を引き締める。彼こそ大型映画時代の申し子というべき存在だった。

   映画とは虚構を真実のように見せるもの。そのために、当時の建築物を始め、登場人物が身にまとうコスチュームはもちろんテーブル上の食材に至るまで、専門家が史実に基づいて検証し、その時代を再現する。数千名を数えるモブシーン(群集シーン)でも、エキストラのコスチュームや手にする小道具に手を抜くことはない。

 こうして製作された映画は、そこに渦巻く空気までもがその時代を再現することになり、観客はまるでタイムマシンでワープしたようにその時代をヒーローといっしょに体感することになる。まさにムービー・マジック。1950年代から60年代前半にかけての映画最盛期、ハリウッドはその楽しさを全世界に発信し続けていた。その中心に彼は居たのだ。
  彼が去り際に、これからの映画についてどう語ったかは知らない。その輝かしい栄光とともに、チャールトン・ヘストン。あなたは今、「十戒」で演じたモーゼそのものとなって、シナイ山の高みから世界を見下ろしているのではないか。

あなたは何本見ていますか?
■私が映画館で観たチャールトン・ヘストン/フィルモグラフィ

1952 地上最大のショウ
1954 黒い絨毯
1956 十戒
1958 大いなる西部
1959 ベン・ハー
1961 エル・シド
1963 北京の55日  偉大な生涯の物語
1966 カーツーム
1968 猿の惑星
1971 アントニーとクレオパトラ
1974 大地震    エアポート75
1976 ミッドウェイ
1978 原子力潜水艦浮上せず
1980 ピラミッド

◎映画出演は1996年頃までのようですが、私は1980年以降の彼の作品は観ていません。1997年、ディズニー長編アニメーション「ヘラクレス」におけるゼウスの声が映画出演の最後のようです。

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sig

kemmさん、いつもご覧頂き、ありがとうございます。

by sig (2008-04-10 21:29) 

sig

sazanさん、ようこそいらっしゃいました。
by sig (2008-04-11 10:22) 

sig

バズー☆ さん、ご来館ありがとうございました。
by sig (2008-04-14 10:28) 

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