音が1秒、先を行く。 [小型映画ミニミニ博物館]
小型映画ミニミニ博物館-16
音が1秒、先を行く。
ELMO 240S-XL MACRO
●高級機から普及機へ
今回ご紹介するエルモ社製8ミリカメラは、前回紹介したELMO SUPER8 SOUND 612S-XLの姉妹機として1982年に発売されました。
このカメラではサウンドカメラの普及に重点を置いてあるため、612S-XLの機能を削ってズーム比は4倍、撮影スピードは1秒18コマのみと規模を縮小して価格を抑えています。
●マクロとフォーカスフリー(FF)
●フィルムカウンター 外側200ft時 内側50ft時表示
●60m(200ft)オプション フィルムマガジン(右)
けれども、エルモ社が重要視したフォーカスフリーやマクロ撮影機能、そして高級機の特徴をアピールする60メートルマガジンへの対応や、高音質のサウンドカメラとして必須のサウンドシステムの仕様は継承しています。従って一言で言うと通常のサウンド撮影に最適のカメラということができるでしょう。
このように後期の8ミリ映画機材は、他の家電製品同様、まず高級機で企業の力をアピールし、そのあとで機能を省いた普及期を市場に投入するというやり方だったようです。
●8ミリフィルム上の画面と音声は、常に1秒ズレていた
ところで「シングル8」も「スーパー8」も、サウンドカメラで撮ったフィルムを編集する場合に気をつけなければならないことがありました。
音声はフィルムに塗布されている細い茶色の磁気帯に、撮影と同時に録音されるという話はしましたが、正確に言うと画像のすぐ脇の磁気帯にその画像の音声が記録されるのではないのです。物理学では、遠くで発生した音はあとから届くもの。ところが、同時録音された8ミリ映画の音声はその逆で、その画面よりもちょうど1秒前に記録されるのです。どうしてそんなわずらわしいことが起こるのでしょうか。
●レンズは右上
●右にフィルム撮影窓 下に録音ヘッド この間18コマ(1秒)分
●スーパー8のフィルムマガジン 録音ヘッドにはまる部分の外からと内から
●この状態でマガジンを押し下げるとフィルム装填完了
それは、フィルムマガジンをご覧頂くとお分かりのように、レンズの後ろの画面位置と録音ヘッドの位置がちょうど18コマ分、つまり1秒ずれているからなのです。
というと、編集の際にややこしい、と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。シャッターを押す時は大抵1秒くらい画面が揺れるもので、編集ではカットする必要があるからです。「カット(画面)の頭は1秒カット(切る)」。それを心がければいい訳です。
ただし、相手の話を撮る場合、カットの頭は1秒使えませんから、話し始める数秒前にはカメラを回し始めなければいけません。ビデオとちがってフィルムは高価だし、通常1本のフィルムの撮影時間はわずか3分20秒ですから、この呼吸が大変でした。
編集の際は、音声を頼りに話し始めたところから使い、カットの終わりは画面を頼りに話し終わったところで切ればいいわけです。
いずれにしても現在のビデオでは画像と音声は完全に同期していますから、このような紛らわしいことを考えずに編集できるだけでも大助かりというものですね。
●編集で欠かせないのは編集機とテープスプライサー
さて、サウンドフィルムの編集ではまず同時録音の音声を確認しながら行わなければなりません。そのために、編集機にも音声をモニターできる小型スピーカー付き編集機が登場しました。
また、音楽やナレーションを録音することになると4チャンネル、5チャンネルを扱えるミキサーが必要となります。BGMや効果音も揃えたくなります。こうして音声にこだわると、それまでの8ミリ映画には全く関係の無かった果てしない「音」の泥沼が待っていました。
●GOKO サウンドエディター ¥99,800
●GOKO マルチレコーディングエディター \59,900 1980
一方、フィルムを編集する際に欠かせないのが、フィルムをつなぐテープスプライサーです。これもトーキー以前なら単にテープでつなげば良かったのですが、サウンドフィルムには磁気録音帯が塗布してあります。この磁気をテープでふさいだら音飛びが発生して聞きづらくなります。そこで、サウンドフィルムを接合する場合に磁気録音帯を避けてテープ接合できるテープスプライサーが考案されました。
●LPL ステレオサウンドスプライサー \7,500
このような特殊なテープで、フィルムの両面を貼って接合する
その仕組みを写真でご覧いただきますが、静止画では良く分からないほど実に細かく、良く考えられていることに感心してしまいます(変な言い回しですね。動画説明を考えましたがかえってややこしく見えるので止めました)。
いずれにしても、それぞれの機材メーカーがそれぞれの分野で開発にいそしみ、業界全体を盛り上げていることが伝わって来る頼もしい時代でした。 つづく
■スーパー8 サウンドカメラ仕様
名 称 ELMO SUPER8 SOUND 240S-XL MACRO
メーカー エルモ
発売年度 1982(S57)
形 式 スーパー8 磁気サウンド方式
レンズ F1.2 f=8.5~34mm 4倍ズーム フォーカスフリー
ワイドマクロ
撮影スピード 18コマ/secのみ
絞り TTL方式自動絞り マニュアル絞り可能
最小絞り F3.2
電 源 単三6本 9V
オプション 60mマガジン使用により、連続13分強の撮影が可能
重 量 1.12kg
価 格 86,800円
ちょっとシンプルになりましたね。
テープをつなげるのは
カセットテープを巻き込んで切ってしまったときに
修理したときに使ったやつに似てる!
by 響 (2010-02-10 20:25)
へ~そうなんだ。
1秒って、16コマ分なんですね。
(スイマセン。素人過ぎです。^^;)
by プランツマーケット (2010-02-10 20:55)
響さん、こんばんは。
多分材質はオーディオテープの補修用と同じようなものでしようね。
ただ、このスプライサーはフィルムの表と裏にテープを貼るメカニズムがすばらしいんですよ。やっぱり動画で見せればよかったかな。
by sig (2010-02-10 21:12)
プランツマーケットさん、こんばんは。
失礼、無声の8ミリ映画の場合は1秒18こまでした。間違いです。
直しておきますね。ありがとう。
by sig (2010-02-10 21:15)
フィルムを切って、つなぐ。。。
この表現はよく耳にしますが、実際どうやってつなぐの?って
ずっと疑問に思っていたのです^^;
テープスプライサーって言うんですね~つなぐ場面も
見れて得しちゃった気分です♪
しかしこれをつなぎ合わせていく作業、、、不器用な私は
若干、折れそうです。。。>< (笑)
あ、動画はとあるファッションショーを撮りました^^;
ああいった華やかな場面はやっぱり動画で撮りたいって
思ったんですが、
撮り始めて20秒弱で挫折した1回目の撮影でした(笑)
でもちょっとずつ続けてみます!レスもありがとうございました☆
by gyaro (2010-02-10 21:15)
gyaroさん、こんばんは。
8ミリ16ミリなどフィルムの場合はテープでこのように1箇所ずつつなぎますが、今のデジタルビデオはパソコン上で編集しますから、全くこんな作業は不要です。パソコン画面上で右のカットと左のカットを付き合わせるだけでつながりますよ。ここではその比較を伝えたかったんです。
ファッションショーは音楽と動きがあるから、動画を撮るにはいい被写体でしたね。とりあえず、どんなものか分かっただけで収穫でしたね。慣れたらgyaroさんは、きっと表現に使いたくなると思っています。W
by sig (2010-02-10 21:29)
はっこうさん
gankoさん
NO14Ruggermanさん
こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-10 23:49)
お早うございます。
わが家にビデオさんがお見えになることは(?_?)
一度もありませんでした。これからも縁がなさそう・・・f(^ー^;
by yakko (2010-02-11 08:54)
OMOOMOさん
xml_xslさん
miyokoさん
こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-11 09:48)
genpachiさん、こんにちは。はじめまして。
ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-11 09:48)
マロンさん
c_yuhkiさん
Arielさん
kurakichiさん
こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-11 09:50)
yakkoさん、こんにちは。
これは8ミリ映画のお話で、その次にくるビデオの時代については次回にちょっとだけ触れようと思います。
カメラは静止画を撮るものでしたが、最近のカメラは動画も撮れるようになりましたね。動画モードで撮れば、今では誰でも動く写真が撮れる時代になりました。
by sig (2010-02-11 09:54)
おはよう御座います。
1960年代(私の名古屋時代)エルモ社の営業の方からセールスされた
記憶があります。あの頃から動画を始めていれば少しは・・と思うのです
が、兎にも角にも高価で手が出ませんでした。
by furukaba (2010-02-11 10:04)
テープスプライサーを使っていたのはサイレンと時代でした。テープを切断して単につなぐだけの作業でした。確かに音声入りのテープをつなぐのは音飛びの問題がありますね。全くしりませんでした。
by カメキチ (2010-02-11 10:22)
furukabaさん、こんにちは。
エルモは小型映画の中心的なメーカーでしたから、8ミリも定評がありましたね。
やはり1個のカートリッジで3分20秒というのは物足りなくて、60mマガジンを使いたかったものでした。
ビデオは簡単で、長時間録画できて、ほんとにありがたいと思います。
ロシアは全部でどのくらい回してこられたのでしょうか。長時間気兼ねなく録画できて良かったですね。
by sig (2010-02-11 11:01)
カメキチさん、こんにちは。
サウンドフィルム専用テープスプライサーが7500円ですからね。
1カットつなぐだけでも、ずいぶんお金がかかったものでした。W
by sig (2010-02-11 11:04)
sungenさん
サチさん
ぼんぼちぼちぼちさん
こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-11 11:05)
こんいちは、色々と難しいですね。フィルムを切って、つなぐ。
オープンリールをつないで音の編集をしたことはありますが。
大変だったのですね。
ご訪問&ナイス有り難う。今後ともよろしくお願いします。
by 吉之輔 (2010-02-11 13:42)
YAKJIMAさん
アヨアン・イゴカーさん
こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-11 14:57)
吉之輔さん、こんにちは。
雪はいかがですか。東京は今晩少し降るそうです。
オープンリールのサウンドテープのつなぎは経験があります。8ミリの方がこのような機材を使うので簡単です。音のテープつなぎは大変でしたね。
いつもコメント、ありがとうございます。
by sig (2010-02-11 15:00)
Yubarimeronさん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-11 15:01)
フィルムを繫げる作業懐かしく見ました
トーキー以前ばかりでしたので結構いい加減でしたけど(笑)
白い手袋で指紋や油を付けないようにですね
テープの糊面に手袋の毛羽が付いちゃったりして(笑)
by pace (2010-02-11 15:18)
アナログがとても懐かしいです。
自分の持っているアナログを大切に保存していきます。
by とらさん (2010-02-11 15:41)
昔は撮影した後は編集機が必要だったのですね!
直ぐに確認できる現代のカメラは凄いと思います(^o^)
by tomickey (2010-02-11 16:04)
paceさん、こんにちは。
白い手袋をして・・・ですか。本格的だったんですね。
私も持ってはいましたが、やはり細かい作業では外していましたね。
ただ、真夏の編集作業では必須でしたね。
by sig (2010-02-11 16:04)
とらさん、こんにちは。
アナログ時代は大変でしたけれど、手作りというすばらしい面がありましたね。
とらさんが進めておられるミニチュアは、その最たるものと思います。
実にすばらしいです。
アナログ機器類も大事にしていきたいですね。
by sig (2010-02-11 16:07)
tomickeyさん、こんにちは。
現在のビデオも、編集するとなるとパソコンで編集ソフトを使ってやることになりますが、この当時に比べたらどれほど楽なことでしょう。そのあたりを伝えたくて書いています。
tomickeyさんはTDL、TDSを訪れるとき、ビデオカメラはお持ちになりますか。
by sig (2010-02-11 16:10)
私の世代は、8mmで映画作った記憶ありますよね。高校のときにつくったなあ。
by disneyworld (2010-02-11 22:09)
fuzzyさん
shinさん
くまらさん
月夜さん
路渡カッパさん
トメサン
mycatさん
kontentenさん
こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-12 00:21)
ぺぴさん、こんばんは、はじめまして。
ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-12 00:22)
八犬伝さん、こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-12 00:23)
disneyworldさん、こんばんは。
高校時代に8ミリ映画を。そうでしたか。アナログの時代は編集が全部手作業で大変でしたね。それに比べると、いまのパソコン編集は楽ですね。
by sig (2010-02-12 00:25)
makiさん
福にゃんさん
こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-12 00:26)
音のずれがあったんですね^^;
知らないことばかりでした。。
by abika (2010-02-12 00:57)
abikaさん、こんにちは。
そうなんです。でも、上映したときに1秒ずれていたわけではありません。
撮影時にはフィルムの画と音声を記録する位置が1秒ずれていたのですが、映写機で上映する時も、同じ仕組み(レンズの前の画面の音は、その下にある音声再生機の位置まで1秒ずれている)になっていますから、画面と音声は完全同調するのです。
文章にするとちょっとややこしいですね。W
by sig (2010-02-12 11:05)
Takemoviesさん
ChinchikoPapaさん
こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-12 14:37)
甘党大王さん
チョコシナモンさん
こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-12 18:31)
でも、あの失敗出来ない、ってところが面白かったです。ちなみに、文化祭のイベントとしてやりました。
by disneyworld (2010-02-12 20:46)
確か我が家にも昔のフジの8ミリカメラがあったような気がする。どこにしまったかなあ。今度探した見ます。
by こぐまね (2010-02-12 23:16)
disneyworldさん、こんばんは。
あはは・・・。NGなんか出していたら、フィルムが何本あっても足りませんからね。
なんでもそうですが、便利になるとその緊張感が薄れるんですよね。
by sig (2010-02-12 23:45)
こぐまねさん、こんばんは。
ぜひぜひ、探してみてください。
カメラも動かしてみてください。フィルムは保存状態を確かめてみてください。
by sig (2010-02-12 23:47)
Qooさん
SILENTさん
yutakamiさん
kjislandさん
こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-14 00:11)
ヨタ8さん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-15 10:30)
corradoさん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-15 17:17)
こんばんは・・・
LPL のテープスプライサー・・・使っていました! 懐かし~い♪
by あら!みてたのね (2010-02-15 22:44)
sanaさん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-16 13:54)
あら!みてたのねさん、こんにちは。
このスプライサー、かれこれ30年前になるんですね。
われながらビックリです。
あら!みてたのねさん、現在はバイビジョンビデオカメラでしょうか。
by sig (2010-02-16 13:56)
BlackTigerさん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-17 14:44)
Ja-Kou66さん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-19 13:32)
みかっちさん、こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-02-19 23:37)
実は今日動画の繋ぎを初体験したばかりで、タイムリーです(笑)。
ところで、一つ教えていただきたいことが。
ブログ内の写真のアップの仕方で、例えば今日のだと
●レンズは右上
●右にフィルム撮影窓 下に録音ヘッド この間18コマ(1秒)分
の部分。
レンズは右上の余白はどうやって作られていらっしゃるのですか? いつも綺麗にレイアウトされているのでいつかうかがいたいと思っておりました。ちなみに私は改行につぐ改行でつじつまを合わせているという始末です。きっと一発なにかすれば出来るんじゃないかな…と思ってはいるのですが…。
by うさ (2010-03-21 20:17)
うささん、こんばんは。
「●レンズは右上」の場合は、写真の右下脇に右クリックでカーソルを置き、文字入力してるだけです。
次に「●レンズは右上」を入力したあとにカーソルがありますから、その状態でshiftを押しながらEnterを押すと改行されます。
改行する場合はとにかく shiftを押しながらEnter です。
これで答になっていますか。
私も「改行につぐ改行」です。それで間違いは無いと思いますが・・・。
by sig (2010-03-22 02:14)