これだ! これが欲しかったんだーっ! [小型映画ミニミニ博物館]
小型映画ミニミニ博物館-1
これだ! これが欲しかったんだーっ!
50年の念願叶う。今、紙フィルム映写機 [前編]
こんにちは。「時計仕掛けの昭和館」館長兼キュレーター(学芸員)のsigてす。ついこの間、ネットサーフィンをしておりましたら、ハンズネット(東急ハンズ)で大変なものを見つけてしまいました。みなさんにとってはどうでもいい物かも知れないのですが、私にとっては一大事。何と、紙フィルム映写機の広告があったんです。私がまだ小学生の頃、おもちゃの映写機を買ってもらえなくて、もっぱら手製の紙フィルムで遊んでいたことは、以前このブログでお話ししましたね。今時「紙フィルム映写機」を売るなんて学研しか考えられません。そしたらやっぱりそうでした。
学研という出版社は、みなさんも「子供の科学」という本でおなじみだと思います。私たちの子供の頃は、雑誌にいろいろと組立て付録が付いていたものですから、「子供の科学」は例えば同じカメラでも、紙製ではなくてそれよりも材質がしっかりしているもの、実用に耐えるもの、そういうレベルでキットの仕様や品質をアピールしていたと思います。
で、この紙フィルム映写機もそうした子供向けに売られているのかと思ってよく見ましたら、何と「大人の科学 Vol.15」というんです。へえー、大人のホビーなんだ。ということで合点がいきました。これは大人が童心に帰って少年時代を懐かしみながら組み立てるノスタルジック玩具なんですね。とすればまさに私のために用意されたものではないですか。それが手に入るならば、ぜひとも我がブログの「小型映画ミニミニ博物館」のシンボルとして当館のコレクションに加えたい。また、これを記事にしたら「小型映画ミニミニ博物館」オープンの弁になりそうだ。やったーっ。私がその広告を見て小躍りして詳細を確かめてみたことは言うまでもありません。
ところがこの本は2007年4月にすでに発売されていたんですね。気付かなかったなあ、私としたことが、何でかなー。このたぐいのシリーズ本は、書店の店頭から外されても、ホビーショップやこのようなネットで手に入れることができるんですね。よく見たら「残り7部」。こりゃ大変。これはもう希少価値。レアもレア、プレミアムものです。では価格は? 2300円。安~い! 買うしかない。あせりまくってその場でオーダーしましたよ。 宅配便の送料込みで2825円。新宿の東急ハンズまで買いに行ったら電車賃は往復560円掛かりますから金額的にほとんど差はないし、新宿店にこのキットが置いてなければ無駄足になります。こんなところがネットショッピングのチェックポイントですよね。
それはとにかく、4日後に届きましたよ、映写機の組立キットがぁ。ほんとは3日後に届いたはずだったんです。オーダー画面の「お届け希望時間」でなまじっか「午前中」などと指定したものだから、前日の午後に配達できたものをパスされてしまったんですね。このあたりも、家に居ることが多かったら配達時間を「いつでも」、と指定した方がいいと思いますよ。
閑話休題。現物はご覧のように本体の本とキットがいっしょになった箱型です。さっそく本の方を開いてみます。私はいつもおいしいものは最後に頂く方で…キットの箱を開けるのはそのあとで…と、こんなところからでも育ちや性格が分かるんですってね。そう、戦後生まれの私はそう育っちゃったんです。
真っ先に目に入ったのが「フィルムこそ我が人生」のタイトル。大林宣彦監督と映像史研究家・松本夏樹氏の対談です。何で私にもお声が掛からなかったのかなあ(大林監督、人間的に大好きなのに)、と思いながら更にページをめくると映画の歴史の絵解きです。なあんだ、私がこのブログでやろうとしていることを、1年以上も前に先取りされてしまっていたのかぁ。さすが学研ですねぇ。
この「大人の科学」シリーズ自体がかなりマニアックなものです。考えてみれば、日本人1億2千800万人の中で紙フィルム映写機に関心を示す人が何人いるでしょうか。1億3千万が大げさだったら、その半分の大人を対象にして何冊売れるのでしょうか。それを考えると、私自身が極めてマイナーな趣味を持っているということを自覚しておりますだけに気になるのですが、そんなに少ない人たちに向けてよくぞこうした本の出版を続けてくれているという、そのことに頭が下がります。
おそらく編集に携わっている方々は、昔からの伝統雑誌を更に発展させたいという願いもあるでしょうが、何よりも、創意工夫・創造のプロセスから生まれるわくわくするほどの遊びの楽しさ、それを伝えたい一心からではないかと思うのです。編集者自身が、自分たちで実際に試作品を作ってみたりして、面白がって遊びながら本作りをしている。その光景が目に見えるようで、その熱っぽさ、楽しさがそのまま伝わってくるからこちらも楽しくなるのだと思います。
この本を手にして思うのですが、このキットが50年前に発売されていたら、私は真っ先に飛びついたでしょう。でも考えてみれば、欲しいときにそれが無かったからいいんです。欲しいときにすぐに手に入っていたら、そんなものはちょっと遊んだだけですぐにポイ。そしてそのまま忘れてしまったかもしれません。手に入れることができなかったからこそどこか頭の奥の奥に残っていて、50年も経つのにこの本を見ればすぐにまた血が騒ぎ出すんです。
さて、今や誰でも小型ビデオカメラでハイビジョンの動画を楽しめる時代になりました。その原点とも言うべきものが、実は幻灯機の時代からの「紙フィルム」であり、まだ透明なフィルムが発明される前に日本特有のアイディアから生まれたこの「反射式映写機」なんですね。温故知新。古いものから学んで新しいものへと発展させていく、こう考えると時代に逆行してみるのも面白いし、意義もあると思うんです。そもそもこのブロクはそんな発想から生まれたのでした。
今回は、本体である本のさわりとキットの完成写真をご紹介したに留まりましたが、では反射式映写機とはどのような仕組みになっているのか。ちゃんと映るのか。本当に動くのか。そのあたりのことは次回の「後編」でお伝えしたいと思います。
これだ! これが欲しかったんだーっ!
50年の念願叶う。今、紙フィルム映写機 [前編]
こんにちは。「時計仕掛けの昭和館」館長兼キュレーター(学芸員)のsigてす。ついこの間、ネットサーフィンをしておりましたら、ハンズネット(東急ハンズ)で大変なものを見つけてしまいました。みなさんにとってはどうでもいい物かも知れないのですが、私にとっては一大事。何と、紙フィルム映写機の広告があったんです。私がまだ小学生の頃、おもちゃの映写機を買ってもらえなくて、もっぱら手製の紙フィルムで遊んでいたことは、以前このブログでお話ししましたね。今時「紙フィルム映写機」を売るなんて学研しか考えられません。そしたらやっぱりそうでした。
学研という出版社は、みなさんも「子供の科学」という本でおなじみだと思います。私たちの子供の頃は、雑誌にいろいろと組立て付録が付いていたものですから、「子供の科学」は例えば同じカメラでも、紙製ではなくてそれよりも材質がしっかりしているもの、実用に耐えるもの、そういうレベルでキットの仕様や品質をアピールしていたと思います。
で、この紙フィルム映写機もそうした子供向けに売られているのかと思ってよく見ましたら、何と「大人の科学 Vol.15」というんです。へえー、大人のホビーなんだ。ということで合点がいきました。これは大人が童心に帰って少年時代を懐かしみながら組み立てるノスタルジック玩具なんですね。とすればまさに私のために用意されたものではないですか。それが手に入るならば、ぜひとも我がブログの「小型映画ミニミニ博物館」のシンボルとして当館のコレクションに加えたい。また、これを記事にしたら「小型映画ミニミニ博物館」オープンの弁になりそうだ。やったーっ。私がその広告を見て小躍りして詳細を確かめてみたことは言うまでもありません。
ところがこの本は2007年4月にすでに発売されていたんですね。気付かなかったなあ、私としたことが、何でかなー。このたぐいのシリーズ本は、書店の店頭から外されても、ホビーショップやこのようなネットで手に入れることができるんですね。よく見たら「残り7部」。こりゃ大変。これはもう希少価値。レアもレア、プレミアムものです。では価格は? 2300円。安~い! 買うしかない。あせりまくってその場でオーダーしましたよ。 宅配便の送料込みで2825円。新宿の東急ハンズまで買いに行ったら電車賃は往復560円掛かりますから金額的にほとんど差はないし、新宿店にこのキットが置いてなければ無駄足になります。こんなところがネットショッピングのチェックポイントですよね。
それはとにかく、4日後に届きましたよ、映写機の組立キットがぁ。ほんとは3日後に届いたはずだったんです。オーダー画面の「お届け希望時間」でなまじっか「午前中」などと指定したものだから、前日の午後に配達できたものをパスされてしまったんですね。このあたりも、家に居ることが多かったら配達時間を「いつでも」、と指定した方がいいと思いますよ。
閑話休題。現物はご覧のように本体の本とキットがいっしょになった箱型です。さっそく本の方を開いてみます。私はいつもおいしいものは最後に頂く方で…キットの箱を開けるのはそのあとで…と、こんなところからでも育ちや性格が分かるんですってね。そう、戦後生まれの私はそう育っちゃったんです。
真っ先に目に入ったのが「フィルムこそ我が人生」のタイトル。大林宣彦監督と映像史研究家・松本夏樹氏の対談です。何で私にもお声が掛からなかったのかなあ(大林監督、人間的に大好きなのに)、と思いながら更にページをめくると映画の歴史の絵解きです。なあんだ、私がこのブログでやろうとしていることを、1年以上も前に先取りされてしまっていたのかぁ。さすが学研ですねぇ。
この「大人の科学」シリーズ自体がかなりマニアックなものです。考えてみれば、日本人1億2千800万人の中で紙フィルム映写機に関心を示す人が何人いるでしょうか。1億3千万が大げさだったら、その半分の大人を対象にして何冊売れるのでしょうか。それを考えると、私自身が極めてマイナーな趣味を持っているということを自覚しておりますだけに気になるのですが、そんなに少ない人たちに向けてよくぞこうした本の出版を続けてくれているという、そのことに頭が下がります。
おそらく編集に携わっている方々は、昔からの伝統雑誌を更に発展させたいという願いもあるでしょうが、何よりも、創意工夫・創造のプロセスから生まれるわくわくするほどの遊びの楽しさ、それを伝えたい一心からではないかと思うのです。編集者自身が、自分たちで実際に試作品を作ってみたりして、面白がって遊びながら本作りをしている。その光景が目に見えるようで、その熱っぽさ、楽しさがそのまま伝わってくるからこちらも楽しくなるのだと思います。
この本を手にして思うのですが、このキットが50年前に発売されていたら、私は真っ先に飛びついたでしょう。でも考えてみれば、欲しいときにそれが無かったからいいんです。欲しいときにすぐに手に入っていたら、そんなものはちょっと遊んだだけですぐにポイ。そしてそのまま忘れてしまったかもしれません。手に入れることができなかったからこそどこか頭の奥の奥に残っていて、50年も経つのにこの本を見ればすぐにまた血が騒ぎ出すんです。
さて、今や誰でも小型ビデオカメラでハイビジョンの動画を楽しめる時代になりました。その原点とも言うべきものが、実は幻灯機の時代からの「紙フィルム」であり、まだ透明なフィルムが発明される前に日本特有のアイディアから生まれたこの「反射式映写機」なんですね。温故知新。古いものから学んで新しいものへと発展させていく、こう考えると時代に逆行してみるのも面白いし、意義もあると思うんです。そもそもこのブロクはそんな発想から生まれたのでした。
今回は、本体である本のさわりとキットの完成写真をご紹介したに留まりましたが、では反射式映写機とはどのような仕組みになっているのか。ちゃんと映るのか。本当に動くのか。そのあたりのことは次回の「後編」でお伝えしたいと思います。
大人の科学マガジン Vol.15 ( 紙フィルム映写機 ) (Gakken Mook)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2007/03
- メディア: ムック
こんばんは
いつも冷静な、sig さんが、ワクワクして取り乱しておられる
姿が眼に浮かびます。
でも、入手できてよかったですね!
私も、「科学」を待ちわびた一人です。CMで「まだかな?、まだかな?、
学研のおばちゃんまだかな?」というのをみて、自分のことだったと、
笑ってしまいました。
by TAKA (2008-05-23 00:15)
TAKAさん、早い! 即コメント、ありがとうございます。
届いたのが20日、それ以来昨日(22日)中までの丸3日間、キットの組み立てと紙フィルム作りにべったりでした。
次回はその奮闘振りをぜひ読んでください。
それにしても、TAKAさんにも同じような思い出がおありなんですね。
by sig (2008-05-23 00:35)
先日、同じシリーズで8mm映写機を売っていました。
ただ、フィルムが添付されてません&カメラも付いていません(><)
ビデオ世代の私は、買っても見る事が出来ないので・・・
諦めました ^^;
by kontenten (2008-05-23 13:52)
kontentenさん、こんばんは。情報、ありがとうございます。
その8ミリ映写機の巻は書店で見たような気がしますが、自分ではカメラも映写機も持っていますので「大人の科学」の8ミリは間に合っています(笑)
このブログではこれから、8ミリ映画という時代を経て今日のビデオがある、ということを説いて行きます。その前哨戦が今回と次回の記事なんです。kontentenさんのようなビデオ世代の人たちにこそ見て頂きたいなあ。
by sig (2008-05-23 20:37)
手に入れられない(存在しない)からこそ想いがつのって、夢がふくらんでいくというのは、わたしもずいぶん経験があります。いまのように、モノも情報もすぐにネットで入手できるというのは、便利な世界には違いないのですけれど、反面その“ふくらみ”や“こだわり”の部分がなかなか大きく育ってはくれないですね。
“ふくらみ”や“こだわり”が薄い遊びというのは、楽しさもまた薄いような気もします。
by ChinchikoPapa (2008-05-24 23:42)
模型とかラジコンとかホビーの世界もそうですが、子供の頃にほしいけど手に入らなかったものが市場を盛り上げていますね。^^
なんでも手に入る今の子供達は将来そういう楽しみはなさそうですね。。
by BlackTiger (2008-05-25 09:37)
こんにちは♪
大人の科学!知ってます~~~!!買った事ないですけど^^;
>欲しいときにそれが無かったからいいんです
本当に、そうですね。子供にも買い与え過ぎないように
気をつけなくっちゃ!!(^_^;)
by プリン (2008-05-25 09:41)
ChinchikoPapaさん、コメントありがとうございます。
まったく同感です。
やはり精神的な飢餓感や緊張感といったようなものが、こだわりやふくらみをもたらすのではないでしょうか。
そういった意味でハングリー精神は忘れたくないし、何でも楽しんでやろうというあそぴ心も失いたくないですね。
by sig (2008-05-25 10:20)
BlackTigerさん、ようこそ昭和館へ。
なんでも手に入る時代なのですが、それでもどこか満たされていないようですね。まわりにいろいろあるので、かえって自分にないものが気になってしまうのでしょうか。
とに角、戦後は、国民みんなが貧しいことでは同等だったから良かったような気がします。学歴、職業、所得などで格差ができ始めてから、自分だけ不幸、みたいな気分が生まれてきたのかもしれませんね。
by sig (2008-05-25 10:33)
プリンさん、こんにちは。
(^_^;)でなくてもいいんですよ。今は今の時代の子育てのやり方があるのだと思いますから。
あえて言えば、私たちの時代は、親が子のためにやってあげたいけれどもやって上げられないという親の気持ちを、子供が理解していたということ。
だから欲しいものがあってもわきまえて我慢します。こうしたセルフコントロールの積み重ねが忍耐につながるのでは、と思います。
by sig (2008-05-25 10:47)
corradoさん、ご来館ありがとうございました。
by sig (2008-05-29 21:06)
Qooさん、ご来館ありがとうございました。
by sig (2008-06-02 21:38)
ラナさん、ご来館ありがとうございました。
by sig (2008-06-02 21:39)