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共学とは名ばかり。もののふ40に姫3人 [あんなこと、こんなこと]

P1030925b-3.JPG あんなことこんなこと―15
高校時代 1956~1958(S31-33)-③
共学とは名ばかり。もののふ40に姫3人 

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●男女共学。その現状は1クラスに女子が3~4名
 
高等学校はそれまで制度上、男子校/女子高がはっきりと分かれていたのですが、私たちの年からはじめて男女共学が始まりました。期待はとても大きかったのですが、入学してみると商業高校への女子の希望者はまだ極端に少なくて、1クラスに女子はたった3人しかおりませんでした。

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手元に保存してある生徒手帳(写真)をご覧いただくと、面白いことが分かります。これは3年生の時に発行された生徒手帳なので、3年生の欄を見て頂きたいのですが、クラスはAからF組までの6組。男女合わせて1クラスの人数を45名としてあることは分かりますが、なぜかB組だけはかわいそうに男子だけで女子生徒はゼロになっているのです。女子は全部で18名なのだからちょうど3名ずつ分ければよさそうなものなのに、学校側にどんな考えがあったのかは今となっては分かりません。ただ、B組の男子からはブーイングが飛びました。

 
ついでに生徒手帳を上に見て頂きますと、2年生、つまり私たちの次の年度の女子生徒は1クラス6~7名に増えています。更に1年生の欄を見ると46人の女子だけのクラスが編成されています。46名の女子生徒を各クラスに配分しないで1クラスに束ねてしまったあたり、いかにもいまだに男女共学に不慣れな学校側の姿勢が見え隠れします。
 けれども、私たちの卒業後にはそんな懸念は吹き飛ぶほど女子生徒が急増し始めるのです。こうして加速度的に男女共学が進展していく訳です。以上、新制高等学校における「男女共学事始め」の一席でした。
 

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●高校には、働きながら学ぶ「定時制」が併設
 当時は、中学を卒業したあと社会で働きながら、夜学で学んで高校卒業の資格を取る「定時制」と呼ぶ仕組みがありました。これは普通高校、工業/農業/商業高校それぞれにありました。授業開始は午後6時頃からだったと思います。終業は午後9時頃です。1日の授業時間が少ない分、定時制は4年制でした。

 「定時制」に対して「全日制」と呼ばれる私たちは、午後3時頃に授業が終了します。そのあと大方の生徒はクラブ活動に移行します。私たち演劇部は通常は5時頃まで練習して帰るのですが、公演が近づくと外が真っ暗になるまで稽古を続けます。大声を張り上げているので夕方になると耐えられないほどの空腹を感じるようになるのですが、その頃に定時制の人たちが登校してきます。彼らは大抵授業が始まる前に購買部でコッペパンと牛乳を買って夕食代わりにしているのですが、時折、中学校時代の同級生に会うことがありました。するとその友人は買ったばかりのコッペパンを二つにして分けてくれました。自分は働いて給料をもらっているのだからというのです。その心意気をうれしく感じ、時々ご馳走になっていました。今でもコッペパンにはその思い出が染み込んでいます。 

●珠算三級、簿記初級が卒業の条件
 
商業高校は実業高校ですから、卒業したらすぐに商業分野の職業に就けるように、経済や商業に関する広い知識と具体的な技術を学びます。その代表的なものが簿記(商業簿記、工業簿記)と珠算(計算実務)でした。当時はもちろんパソコンなどはなく、計算実務はすべてそろばんで処理していた時代です。つまり、毎日の商取引を仕訳し、貸借対照表・損益計算書など最終的に財務諸表というものを作成するのですが、その計算はすべてソロバンで行っていたのです。

 卒業の条件として、3年間の在学中に、日本商工会議所主催の珠算検定で三級、簿記検定で初級以上を取らないと単位がもらえません。両方ともそれ程高いレベルではないので、みんな比較的簡単に合格していました。けれどもその上のランクとなると急に難しくなり、なかなか合格できませんでした。
まず珠算検定の二級ではかなりの桁数の暗算が加わります。暗算は頭の中にソロバンをイメージし、出題者が矢継ぎ早やに読み上げる数字を頭の中で弾いていくのですが、たちまち追いつけなくなってしまいます。また簿記検定中級では決算の勘定科目が細かくなり、全科目の帳尻を合わせるには相当高度な処理の仕方をマスターしていなければなりませんでした。

 
この他簿記では銀行簿記もありましたが、学校での科目としては選択でした。私は将来経理事務に就く気は全く無かったので、というよりも、初めから数字はとにかく苦手でしたので、卒業の条件を満たす最低レベルの資格を取っただけでやめにしました。 

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●校舎左側は新館 2階が「商業実践」専用教室

●楽しかった「商業実践」は、ままごとの本格派
 商業学校特有の教科で楽しかったのは、3年生で学ぶ「商業実践」でした。これは今の言葉で言えば商取引のシミュレーション。「商業一般」に始まり「経済」「経営」「商品」「商業法規」「文書実務」「計算実務(珠算)」「商業簿記」に至る3年間で学ぶ教科のすべての要素を織り込んだ応用授業で、言い換えれば1年がかりの壮大なスケールのままごとです。

 校舎の2階はずれの新館にある二つの教室が「商業実践」専用の教室になっていました。片方は「長岡」。もう片方は「東京」という想定です。生徒は例えば「○○商事株式会社」というようにそれぞれ自分の苗字を冠した企業名を名乗り、取り扱う商品を決め、長岡と東京に分かれて商取引を行うのです。
この二つの教室の中間は細長いガラス張りの部屋になっていて、東京と長岡の両方を展望することが出来ます。そこには「銀行」「証券会社」「運輸会社」「郵便局」など、長岡と東京の取引の仲立ちをする機関・組織が入ります。この役割を担うのは、銀行簿記など選択で授業を受けている生徒です。

 
まず全員に等分に、おもちゃの紙幣と自社の株券が配られます。この紙幣で実際に商取引を行ったり、投資をしたり、株の売買を行ったりして事業を進め、1年後の決算でどれだけ利潤を得たかが成績として評価されるのです。

 
授業時間は連続3時間。すべては実際の商取引通り。「注文書」「注文請書(うけしょ)」なども商業実務の授業で教わった要領で作成し、郵便局を通してやり取りします。授業時間中はどのように行動しようが自由なので、この3時間は自由時間のような気安さがありましたが、年度末までには業績を上げなければならないので、気は許せません。壁には毎日、本物の新聞の経済欄と株式市況のページが張り出され、社会の動きを読みながら事業を展開して行きます。中には通常の取引よりも株に興味を示してそれで業績を上げる者、他の企業に投資して儲けるものなど、すでに社会人になってからの世渡り上手を彷彿させる者もおりました。


■すべてが桁外れ。もうすぐ花火の「長岡まつり」です!
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 真夏といえば花火。花火といえば長岡の大花火大会。
 8月2日・3日の「長岡まつり」では、正三尺玉、大ナイアガラ、フェニ
  ックス花火など、びっくり仰天のスケールで今年も話題をさらいます。
  詳細は下記長岡市のHPを。
 
http://nagaokamatsuri.com/index2.html
 「長岡まつり」から「2007年のようすはこちら」「これぞ長岡花火」
 と辿ると、呼び物の超大型花火の動画(4種)が見られますよ。
 ぜひご覧ください。



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コメント 28

花火師

年代は違うものの、おいらの時代にもひとクラスに女子4人というクラスがありました。
商業高校なら、おいらの時代では女子の方が多かったみたいですね
by 花火師 (2008-07-15 01:04) 

sig

花火師さん、お早うございます。
おっしゃるとおり、母校も3~4年後には瞬く間に女子生徒が増え、人数では逆転したようです。
それと並行して大学進学を目指す男子学生の目覚しい増加があり、普通高校は進学校としての役割を更に高めていく中で、大学を目指す女子生徒も次第に増えてきます。
そして次の段階は、男子も女子も大学進学は当たり前という時代がやって来た経緯はご存知の通りです。
ここまでは日本経済がすべて右肩上がりで成長してきたからですが、これからはどうなっていくのでしょうか。
by sig (2008-07-15 05:53) 

チョコシナモン

sigさんおはようございます。またまた思い出しちゃいました。私の通っていた学校は工業高校ともあって学年で9人でクラスには3人でした。卒業までに計算尺3級・・・あぁ~苦手でした。今でも年一回3人で食事をしています。数十年過ぎても3人で話をしていると高校時代の懐かしい話をしています。花火綺麗でしょう(o^-')b
by チョコシナモン (2008-07-15 08:50) 

sig

チョコシナモンさん、こんにちは。
3人の級友が今でもなかよしで会食したりしているというお話、すぱらしいですね。工業高校は計算尺だったんですね。sigも数字は全く苦手です。
長岡の花火は、それはすばらしいですから、せめて長岡市のHPで動画だけでもご覧ください。今日現在では、今年の打ち上げプログラムが発表されていました。それをご覧になるとどれだけ豪華か分かりますよ。

by sig (2008-07-15 11:23) 

ねこじゃらん

こんにちは。
生徒手帳とは!物持ちがいいんですねー!!
それに授業などの様子もよく覚えてらっしゃる・・・
私があまり覚えていないのは、授業中寝てたから?!
(先生に「来学期は、おまえの頭じゃなくて、
 顔が見たいよ(笑)」って言われた覚えが・・・(^^ゞ
だめだめですね。
あ、そういえば、私の高校は、校則が無かったんですよ。
(制服着用&法にふれないこと、のみ)
なので、生徒手帳はなかったです。。
やっと思い出せて、ほっとしました。(^^ゞ
by ねこじゃらん (2008-07-15 17:31) 

ChinchikoPapa

こんにちは。
3年B組は、確かに男ばかりで面白くなさそうですね。(爆!) ほどよく半々で女子がいると、それなりに楽しい学校生活がおくれるのかなぁ・・・と思います。
わたしたちのころは、高校3年になりますと進学コース別にクラス分けされたのですが、わが3年E組は文科系コースだったせいか、ほどよく女子が混じって・・・ならよかったのですが、男子16人に対して女子32人と、とんでもない比率になってしまいました。ホームルームでは、ほとんど男子の主張や意見が通らず次々に否決されて、まるで女子のためにあるようなクラスでした。記念写真や卒業アルバムを見ても、女子高?・・・と勘違いされそうな雰囲気です。
それでもなんとか、男子がイジけないでいられたのは、担任の男先生の手腕だったのではないかと思いますね。こういう雰囲気ですと、女子にデレデレした「軟派」の男子が多くなる・・・と思われがちですが、面白いことにまったく逆で、普段から女子に「迫害」されているせいか、その反発もあって「誰が女子と付き合うか!」・・・というような男子がけっこういました。
でも、学校じゅうに女子が多いわけですから、全体的な雰囲気としてはsigさんの高校のような「硬派」っぽさはなく、ホンワリとして女臭い、結局は「軟派」高校だったと思います。学生時代から同窓会が始まったのですが、出席するのは男よりも輪をかけて女性のほうが多く(男8人に女30人とか)、それが子供を産んで主婦になってたりしますから、自分がいったい何の集まりに出ているのか、妙な感覚にとらわれたりします。(笑)
by ChinchikoPapa (2008-07-15 18:01) 

puripuri

当時は男子の方が圧倒的に多かったのですね。
いつ頃からか女子の方が多くなったようで、、それにブラスバンドの構成も
女子が多いですね。
商業高校の「商業実践」、目をまるくしながら読ませていただきました。


by puripuri (2008-07-15 19:58) 

sig

ねこじゃらんさん、こんばんは。
校則不要というのは「すべては自分の責任で行え」ということですから、民主主義が定着した証でしょう。私たちと比べ、進んだ時代にお育ちになったことが分かります。
それにしても先生のコメントは笑えました。
生徒手帳を未だにしまっておいたのは、いずれ何かを書くだろうという予感を持ち続けていたためです。それが今、ブログというメディアを得て、意味を持ち始めました。同様にこの次は、高2時代の日記をもとにした原稿になります。

by sig (2008-07-15 21:25) 

sig

ChinchikoPapaさん、こんばんは。
ね、我が校のクラス編成、おかしいでしょう。私はC組でしたので女子は3名。男子はお互いに牽制し合い、みんな騎士のような態度で接していましたよ。(笑)
ChinchikoPapaさんの頃は時代も進んでいますし、文科系でしたら当然女子が多かったと思いますが、1対2なら両手に花と思いきや、かなり抑圧?されていたのですね。その分女子のネガティブな面も学ばれたみたいで、それはそれで随分役に立ったのでは。
同窓会の雰囲気、とても笑えました。
by sig (2008-07-15 21:46) 

sig

puriupriさん、こんばんは。
私たちの頃はまだ、中卒で就職することが多い時代だったのです。集団就職といって大阪の機械工場や愛知県の紡績会社などからまとめて求人があり、中学時代の多くの同級生は、男子も女子も団体で就職列車に乗って故郷を離れていきました。
高校に女子が増えたのは私たちの後から。つまり、女子も大学進学が当たり前という時代になってからなのです。女子も多くなれば、ブラスバンドなどでは理想的な編成が出来るようになり、良かったと思います。
「商業実践」の授業、面白いでしょう? 私は食料会社を想定したように記憶していますが、毎日授業が始まると、まずその日の本物の新聞で経済市況を掴んで、安くなったら仕入れて高くなったら売るという形で商売をしていくのです。取引は毎日記帳し(簿記)、1年後に決算書類を作って提出するのですが、たしか赤字決算だったのではなかったでしょうか。だから自分は商売には向かないと思って、別の仕事に就いたのでした。(半ば本当です)
by sig (2008-07-15 22:13) 

TAKA

こんばんは
私も高校の時、共学の普通科でしたが、2年から理系コースだったので、
2年は、クラスで女子が9人、3年はクラスに女子は2人でした...
一方、文系コースのクラスは、女子が多く、ハーレム状態でした?

by TAKA (2008-07-15 22:27) 

sig

TAKAさん、こんばんは。
TAKAさんの頃も、理系となると女子が少ない時代だったのですね。
現在ではいろいろな分野で理系の女性が活躍できる時代になりましたね。


by sig (2008-07-16 01:08) 

furukaba

高校は共学だったのですが3年間女子とはあまり話もしなかった記憶があります。


by furukaba (2008-07-16 06:09) 

sig

furukabaさん、おはようございます。
多分、絵とか、写真とか、すでに何か打ち込むものを見つけていたのでしょうね。
by sig (2008-07-16 08:24) 

八犬伝

高校は男子校でしたので、当たり前ですが女性ゼロ。
大学は、65人のクラスに女性はたった4人でした。

今じゃ、考えられないですね。
by 八犬伝 (2008-07-16 22:41) 

sig

八犬伝さん、こんばんは。
八犬伝さんも、割合、男女共学は名ばかりの頃のようですね。
おそらく八犬伝さんの大学も、数年後には加速度的に女子が増えたのではないでしょうか。
すべては高度経済成長のなせる業ですね。そのネガティブな面は別にして。

by sig (2008-07-16 23:49) 

銀猫

sigさんは物持ちが良いですね! いつも感心してしまいます。
ずっと同じ場所に住んでいるならいざ知らず、
結婚して独立したり、引越しなさったりしたら
こういう子供の頃や学生時代のものたちはいつのまにやら
処分したりどこかにしまわれたきりになったりする物では無いですか?
本当に凄いですね!! 記憶力も!!!
by 銀猫 (2008-07-17 05:21) 

sig

xml_xslさん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2008-07-17 10:47) 

sig

銀猫さん、こんにちは。いつもご来館ありがとうございます。
sigは物持ちが良すぎて、引越し荷物が多くて困ったのですが、多分、気持ちの奥の奥に、自分のことをいつかまとめようという気持ちがあったのですね。その時に、思い出のよすがが必要ですから、何でもかんでもしまっておくことになっちゃうんです。でも、決して過去に生きてきた訳じゃありませんよ(笑)。
そして今、そういうことをしたい年頃になった時に、たまたまブログという形を知り、「あ、これ、いいじゃん」ってことなんです。自分の個人的なことを書いているのに、そして、文字ばかりなのに、ご覧頂いてありがとうございます。
by sig (2008-07-17 10:58) 

BlackTiger

たった3人の当時の女子たちは緊張したでしょうねえ。
私の職場もそんな比率ですが。 ^^
by BlackTiger (2008-07-17 12:39) 

sig

Black Tigerさん、こんにちは。
でしょうね。でも、男子たちは女子を無視せず、かといって過干渉せず、よいスタンスでいたと思いますよ。どちらかというと騎士道精神で大事にしていたと思います。
聞いてみたら違ったりして・・・(汗)
by sig (2008-07-17 13:41) 

いぬ

sigさん こんにちは
僕は男子校でした 楽しかった
遊ぶには 男同士の方が今も昔も楽しいです
たまに ときめきがあれば良い
高校の頃の友人が一番 気が合います
一番忙しく 楽しい時だったかな
by いぬ (2008-07-17 17:31) 

sig

いぬさん、こんばんは。
男子校でお友だちと良い思い出をたくさん作られたようですね。
どっちにしても男女の出会いは共学とはあまり関係ありませんからね。
共学の目的は、男女がお互いの特性を理解しあう、というところにあるのだと思います。男子だけというのも、すっきりしていていいものでしょうね。
by sig (2008-07-17 22:45) 

sig

Qooさん、こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2008-07-17 22:46) 

sig

kemmさん、こんばんは。ご来館ありがとうございます。

by sig (2008-07-19 20:28) 

sig

yannさん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2008-07-21 13:49) 

sig

みかっちさん、今晩は。ご来館ありがとうございます。

by sig (2008-07-21 19:23) 

sig

kurakichiさん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2010-10-05 10:45) 

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